弁当の日
「玄米せんせいの弁当箱」という漫画のお話です。
主人公は、国木田大学農学部・「食文化論」の講師、結城玄米です。「食べることは生きること」「食文化を学ぶことは、生きる術を学ぶということ」との信念のもと、日々、学生たちに食の大切さを実践を通して教えています。
主人公が尊敬する松下先生が「弁当の日」という日を作り、最初に卒業した子供達に送った言葉に感じるところがあり、紹介させていただきたいと思います。
「弁当の日」
あなたたちは「弁当の日」を二年間経験した最初の卒業生です。だから十一回、「弁当の日」の弁当づくりを経験しました。「親は決して手伝わないでください」で始めた「弁当の日」でしたが、どうでしたか。
○食事を作ることの大変さが分かり、家族をありがたく思った人は
「優しい人」です。
○友だちや家族の調理のようすを見て、技を一つでも盗めた人は、
「自ら学ぶ人」です。
○こまやかな味の違いに調味料や隠し味を見抜いた人は、
「自分の感性を磨ける人」です。
○旬の野菜や魚の、色彩・香り・触感・味わいを楽しめた人は、
「心豊かな人」です。
○一粒の米・一個の白菜・一本の大根の中にも「命」を感じた人は、
「思いやりのある人」です。
○食材が弁当箱に納まるまでの道のりに、たくさんの働く人を思い描けた人
は、 「想像力のある人」です。
○自分の弁当を「おいしい」と感じ、「うれしい」と思った人は、
「幸せな人生を送れる人」です。
○シャケの切り身に、生きていた姿を想像して「ごめん」が言えた人は、
「情け深い人」です。
○登下校の道すがら、稲や野菜が育っていくのを嬉しく感じた人は、
「慈しむ心のある人」です。
○「弁当の日」で仲間がふえた人、友だちを見直した人は、
「人と共に生きていける人」です。
○家族が手伝ってくれそうになるのを断れた人は、
「独り立ちをしていく力のある人」です。
○「いただきます」、「ごちそうさま」が言えた人は、
「感謝の気持ちを忘れない人」です。
○家族が揃って食事をすることを楽しいと感じた人は、
「家族の愛に包まれた人」です。
谷宮小学校の先生たちは、こんな人たちに成長してほしくって2年間取り組んできました。
おめでとう。
これであなたたちは、「弁当の日」をりっぱに卒業できました。 松下義雄
※ビックコミックオリジナルに連載。(2011年5月最終回)
ビックコミックス「玄米せんせいの弁当箱・第2巻弁当の日」
魚戸おさむ・北原雅紀〔脚本〕より抜粋 (全10巻)
※このお話のモデルになった先生がおられます。2001年、香川県の小学校で竹下和男校長(当時)が始めた「弁当の日」。全国に広がり、2015年7月10日現在、「弁当の日」実施校は全国で1714校になっているそうです。(富山県においても、小学2校、中学1校が実践しています)