「むすこ」と「むすめ」

『はじめて読む人の「古事記」』 今野華都子・著より

 

・愛する大和言葉「むすこ」「むすめ」

 

ムスコ、ムスメに共通して使われているムスは、『君が代』の歌詞「苔の産(む)すまで」に使われている「ムス」です。「ムス」は、草や苔が茂って繁殖する意味です。

 

そこから「生む(産む)」「生まれる(産まれる)」という意味ももつようになりました。

 

その「産す」に男性を表す「子」がついて、「産(む)す子(こ)」になり、「産(む)す女(め)」になりました。

 

どうしてムスコに「呼吸」という「息」の字を使うようになったのかというと、息は生命・息吹を表す言葉で、「息」という漢字にも、〈息をする〉→〈生息する〉→〈殖える・殖やす〉

という意味があり「息」と「産す」は同じような意味を持つ文字だったのです。それで「息子」と書くようになったのです。

 

同じように自分のムスメを表す言葉で「息女」と「娘」があります。「娘」という字体は、もともとは「孃」という字体でした。「孃」という文字の右側の「襄」は、着物の袷に綿を詰めたもの表し、軟らかい女性という意味で「嬢」という字を使いました。「嬢」から簡易化されたのが「娘」という文字です。

 

 

息子も娘ももともとは、命の誕生や子孫繁栄の喜びの意味がある「産(む)す」から来ているのです。

                                   (H30.3.21作成)