「味いちもんめ」 … 作:あべ善太 画:倉田よしみ 「ニガウリ」より抜粋
※勉強する意味が解らなくなったといい、学校へも行かなくなり、食事もあまり食べなくなった高校生。カウンセリングなど医者にも診てもらったり、高校の先生のアドバイスももらったが、言われることはみんな同じ。学業にとらわれすぎているのが原因。学校から離れてみたらどうか?その子の個性を大事にした方がいい。無理して学校へ行かなくてもいいじゃないかと。
※板前の揚げ物係の「ボンさん」からのアドバイスは大学で学ぶことを勧めればええんや。あの子は、勉強する目的を見失っただけで勉強が嫌いなわけやないんや。
以下、そのアドバイスです。
「アンタ同級生より一歩も二歩も先へ行っとるんやなぁ」
ボクは、学校を休みがちでなんで、友達より遅れてしまって…
「同級生は勉強しているだけや。けど、あんたは学問をはじめようとしとる…」
「ニガウリゆうんや。食うてみィ…。今のアンタのような味がするでぇ…」
「どや、苦いやろ?そやけど、その苦みは体にええんや」
「人生も時に苦いことがある。アンタもその苦みを味おうてるところや」
「けどそれも薬や…」
「人間を大きゅうするためのな」
「強いられて勉めるだけなんが勉強」
「学びて後に疑うあり。疑いて後に問うあり…それが学問や」
「アンタ、勉強することに疑問をもったんやろ…?」
「人間何のために学問するんか?」
「飯を食うんと同じや…」
「体を作るんが食事、心を作るんが学問や」
「若い時は両方ともしっかりせにゃアカン…」
「少にして学べば、壮にして為すなり。壮にして学べば、老にして衰
えず」 ゆうてな。
※このアドバイスの後、吹っ切れたのか、食欲も出て元気になりました。
※ちなみに「ボンさん」は、三高から京大を出ているという設定。